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【3】 |
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力ある魔導書には魂が宿る。さらに霊階が上がれば肉の器を有する。少女――魔導書『アル・アジフ』の精霊もそういった存在だ。
少女の姿で地上に顕現したアル・アジフに芽生えた意志は『闘争』。異形の神々の力を借りて世界に害を為す者どもを討ち滅ぼすことだった。
異形の神。あるいは単純に『邪神』と呼んでも良いだろう。そんな恐るべき存在に魅入られ、世界の敵となってしまう者はいつの時代にも必ず現れる。
そのような邪神の下僕どもを彼女は狩る。世界に仇なす外道の魔術、それをさらに超える外道の魔術によって。
外道を滅ぼすために外道の術を使う矛盾。否、それ以前に外道の知識の集大成である魔導書の存在意義が、外道を滅ぼし世界を護ることである根本的な矛盾。
その矛盾の理由を、やはり少女は知らない。
ただ――記憶の最奥に何かが眠っている。その眠る何かが彼女を駆り立てている。
それを求めて記憶の深層をもぐり続ければ――あの剣のイメージに辿り着くのだ。
遠い理想。在るはずの無い理想。
だがそれは遠い過去に定められたこと。そして近い未来に約束されること――
憎悪の空――
正しき――怒り――
――魔を――剣――
≪剣≫。
『警告。最重要機密事項に抵触。全白血球プログラム作動。検閲強化を最優先に。呪力レベル最大。初期化。書き換え』
――閃光。
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